【読書メモ】方法序説(デカルト)
デカルトの方法序説を読んだので、メモを残しておきます。デカルトといえば、「我思うゆえに我あり」という言葉が有名ですが、その真理に至る過程に見習うべきポイントがあるように思いました。(「我思うゆえに我あり」を起点にして、主張している各種の”真理”については「??」なところが多々ありますが、、、)
個人的には、以下が持ち帰りになりました。
- 絶対的に正しいと言えることなんて皆無に等しい一方で、正しいことを見出すまでにも日々の決定を下さなければならない
- 日々の決定を下す上では、「身近な人々の穏健な意見に従うこと」、「疑わしいことでも一度決めたことは貫くこと」、「変えられるのは自分の思考だけであると理解すること」が大事
- 作者: デカルト,Ren´e Descartes,谷川多佳子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1997/07/16
- メディア: 文庫
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サマリー
- 第一部:学問に関する考察
- デカルトは、人を人たらしめる真理を探求するために、様々な学問を学び、様々な土地を訪れ様々な事柄に触れることで、習慣や慣例だからと言って「真」であるとは判断してはならないことを学んだ。そのことから、自身の理性を導くための方法を手にいれることができた
- 第二部:学問上の規則
- 急な変革が難しい大組織とは違い、自分の思考であれば、これまで受け入れてきた誤った考え方を取り除くことができると考えた。そこで、論理学、代数、幾何学から4つの規則(明証、分析、総合、枚挙)を考え、その規則に従う事によって数学分野では難しい問題を解けるようになった。諸学問の原理たる哲学でも、原理を打ち立てたいと考えたが、それにはまだ自らが成熟するまでの時間が必要と考えた
- 第三部:道徳上の規則
- 誤った思考を排除して新しい思考を作りあげる間にも、できる限り幸福にいられるよう、「1、国の法律と習慣に従うこと」、「2、どんなに疑わしい意見でも一度決めたことには一貫して従うこと、3、自分が変えられるのは自分だけであると信じること」、の3つの格律を掲げた。3つの格律に従って行動することで、様々なことが分かるようになったが、それでもまだ哲学の基礎を作るようなことを何一つ築き上げられていないという事に気づいた
- 第四部:神と人間の魂の存在証明
- 哲学の真理を見つけるために、あらゆることを疑った結果、確かなことは「疑っている自分がいること」だけであることに確信した。次いで、「私が真理を語っていることを保証することは、私がそれが真理であることを明晰にわかっていること以外にない」として、さらに「私が明晰に判断することは全て真である」とした。
メモ
デカルトは、人を人たらしめる真理を探求するために、様々な学問を学び、様々な土地を訪れ様々な事柄に触れることで、習慣や慣例だからと言って「真」であるとは判断してはならないことを学んだ。そのことから、自身の理性を導くための方法を手にいれることができた
- 人の意見が分かれるのは、真偽を判別する能力(良識)による違いではなく、思考が異なる道筋により導かれる事によるのである。本書では、私(デカルト)が、如何に「自身の理性を導くための方法」を得るために努力してきたのかを、批判を覚悟で「紹介」し、読者にもそんな私(デカルト)の率直さを良しと受け取ってほしい
- 私(デカルト)は昔から様々な学問を学んだ。それぞれの学問に有用な側面があることは認めはするものの、自分の無知を知らされた以上に得るものはなかった。あらゆる学問は完全でないことを理解することで、私(デカルト)は教師への従属から解放されたのだった
- そして、世界という書物のうちに見つかるかもしれない学問だけを探求しようと、旅をして宮殿や軍隊を見、気質や身分の異なる様々な人々と交流し、至る所で経験する事柄について、何らかの利点を引き出すこととした
- 突飛で滑稽なことでもそれが多くの国や人々に受け入れられている様を見て、慣習や前例だけで物事に納得してはいけないことを学んだことが、旅の最大の利益だった。これによって、私(デカルト)は、誤りから解放され、理性を手にすることができたのだった
急な変革が難しい大組織とは違い、自分の思考であれば、これまで受け入れてきた誤った考え方を取り除くことができると考えた。そこで、論理学、代数、幾何学から4つの規則(明証、分析、総合、枚挙)を考え、その規則に従う事によって数学分野では難しい問題を解けるようになった。諸学問の原理たる哲学でも、原理を打ち立てたいと考えたが、それにはまだ自らが成熟するまでの時間が必要と考えた
- 町並みや法律が全く統一されていなかったドイツでの経験から、大組織では統一されていないなりの利点もあり基礎から全て覆すような統一を行うことが難しいと考えた
- しかし、私(デカルト)個人の場合は、そうではない。これまで受け入れてきた諸見解をきっぱり取り除き、ほかの良い見解を取り入れる方が、自分の生をはるかに成功に導くと信じた
- 私(デカルト)は、理性から導かれた意見以外を全て捨ててしまおうとは思わなかった。若い頃に学んだ、論理学、代数、幾何学から、それらの長所を含み、欠点を免れた4つの規則(明証、分析、総合、枚挙)を考えた
- 4つの規則とは、「1、明証は、私が明証的に認めたことでなければ、如何なることも真として受け入れないこと」であり、「2、分析は、検討する難題を1つ1つをできるだけ多くの、しかも、問題をよりよく解くために必要なだけの小部分に分割すること」であり、「3、総合は、私の思考を順序にしたがって導くこと、認識しやすいものから初めて、徐々に複雑なものの認識に登っていくこと」であり、「4、枚挙は、見直しをして見落としていないことを確認すること」である
- これらの規則に従うことによって、難しい数学の問題でも解けるようになったし、未知の数学の問題に対しても、どのように解けば良いかを考えられるようになった。しかし、それ以上の効能として、自分の理性を完全でないまでも、少なくとも自身の力が及ぶ範囲では最もよく導くことができるようになったという確信が得られたことであった
- 次に、この規則を数学以外の問題にも適用したいと思った。特に、諸学問の原理となっている哲学において、原理を打ちてるべきと考えた。しかし、当時23歳だった私は、これまで積み重ねてきた悪しき意見の全てを根絶するために、もっと成熟した年齢までは哲学への挑戦は待たなくてはならないと考えた
誤った思考を排除して新しい思考を作りあげる間にも、できる限り幸福にいられるよう、「1、国の法律と習慣に従うこと」、「2、どんなに疑わしい意見でも一度決めたことには一貫して従うこと、3、自分が変えられるのは自分だけであると信じること」、の3つの格律を掲げた。3つの格律に従って行動することで、様々なことが分かるようになったが、それでもまだ哲学の基礎を作るようなことを何一つ築き上げられていないという事に気づいた
- 真理を得るための計画を立てただけでは十分ではなく、思考においては真理を決定しない間にも、行動においては非決定に止まることがないように3つの道徳を定めることとした
- 1つは、国の法律と習慣に従うこと。中でも、身近な人々に従って自分を律することが有益と考えた。人々の意見を見定める上では、彼らの発言よりも行動に着目した。また、一般的に受け入れられているいくつかの意見がある場合には両極端なものは避け、最も穏健なものを受け入れるようにした。自分の自由を削るような約束は両極端とみなした
- 1つは、どんなに疑わしい意見でも一度決めたことには一貫して従うこと。実生活の行動は一刻の猶予も許さないのだから、どれが最も確かな意見か見分けがつかない場合には、最も蓋然性の高いものに従うべきである。それも分からない場合でも、どれか一つの意見を選び、選んだ以上は曲げてはいけない
- 1つは、自分が変えられるのは自分だけであると信じること。生まれつき、良いものを持っていなかったとしても、それが自分の過ちではないことを認めれば、それを残念と思わなくなる。昔、運命から逃れ、数々の苦しさや貧しさにも関わらず、幸福を手にした哲学者達の秘訣は、主にこの点にあったと思う
- これらの道徳を確信したのちに、自分の意見全てを自由に捨てられるようになったと判断した。そして、この企てを達成するためには部屋を出て旅に出た。旅の中で、さまざな命題について、明晰で確かな推論に努めた結果、十分に確かな何らかな結論を導くことができた。このようにして、各々の事柄の誤りやすい点について反省を加えながら、私(デカルト)の中にあった誤謬を正していった
哲学の真理を見つけるために、あらゆることを疑った結果、確かなことは「疑っている自分がいること」だけであることに確信した。次いで、「私が真理を語っていることを保証することは、私がそれが真理であることを明晰にわかっていること以外にない」として、さらに「私が明晰に判断することは全て真である」とした。
以降、個人的にしっくりこないところもあるので、また時間をおいて読んでみよう・・・
【キャリア設計】来年の職務経歴書を書こうと思った
タイトルの通り、来年の職務経歴書を書こうと思い至った訳ですが、そのように思い至った経緯も含めて書き記して置こうと思います。
新卒入社した戦略コンサルからデータサイエンティストへの転職
新卒で入社した戦略コンサルから、経験の無いデータサイエンティストにキャリアチェンジした。転職して間もない頃は、道の領域で自分のバリューを示す事に必死で、データサイエンティストの仕事であるかどうかを問わず、前職の経験が活きる分析企画や関係者調整に力を尽くした。
しかし、ふとした瞬間に、「何のために転職したのだろうか、転職の目的は果たせているのだろうか」と思う時がある。新卒で戦略コンサルを選んだ理由はやりたいことを見つけるためであり、戦略コンサルからの転職理由はデータ分析をやりたいと思ったためだった。だとすると、今やっていることは、現在の環境で目的を達成する手段でこそあれ、目的では無い。
データサイエンティスト”業界”に身を置く危機意識
では、データサイエンティストっぽいこと(=これが示す事にも諸説あるが)ができれば万事解決かと言うと、それはとっても危うい。何故なら、今後データ分析ができる人なんていくらでも増えてきて、それで、色々な便利ツールも普及してきて、分析者としてのデータサイエンティストはコモディティ化して給料が下がるだろうから。もっと言えば、私が分からないITやシステム領域の知見も兼ね備えた人間の参入も増えてきて、”データ分析だけしかできない人間”は採用すらされないかもしれない。
私は、とある大企業でデータサイエンティストをやっていて、今後も大企業でやっていきたいと考えている。理由はシンプルで、ホワイトであり、ネームバリューがあり、ゴリゴリのデータサイエンティストでなくても一定のバリューが出せるから。しかし、デメリットもあって、大企業であるがゆえに、もとの文化を変えることが非常に難しく、組織がなくなるリスクすらある。だから、備えて置かなければならない。
データサイエンティストへのキャリアチェンジが誤りだったのか
データサイエンティストにキャリアチェンジしたことを悲観しているかと言うと、そうではなく、データサイエンティスト”業界”は、まだ職種の定義が曖昧で動きが読めない分、この黎明期の段階で、”ちゃんとしたポジショニング”を取れば、リターンがあると思っている。
また、先ほど組織が無くなるリスクを述べたが、多くの大企業では、今後もデータ利活用に苦戦するだろうし、組織の問題が絡む分、外部業者の力だけでは立ち行かないことも多いと思うので、今の会社がダメになっても、どこかしらに需要があると思っている。
評価されにくいコンサル経験
一応、私の武器はコンサルで身につけた”コンサルスキル”だったり”マインドセット”、だと思っている。これは重要かつ本質的なスキルやスタンスである一方、”分析スキル”とか、”システムに関する知識”とかと比べると、転職市場では評価されにくいと思う。
何故なら、スキルや知識のようにある/なしで評価できるものに比べて評価しにくいためだ。事業現場に採用権限が委ねられている企業であれば問題ないだろうが、多くの大企業では全く理解の無い人事や役員が採用に関与するため、彼らにも分かりやすい評価基準で採用判断しなければならない。そうすると、大学の入学試験のように知識や経験に偏重した採用となることは仕方がないと思っている。
冒頭で挙げた通り、私は目先の事に流されやすい性分なので、目先の業務をこなすだけこなしているうちに、組織が無くなることが容易に想像できてしまう。そして、転職市場に出ても「お前、何ができるんだっけ?分析すらできないんじゃ採用できないよ」、という最悪のシナリオが待ち構えている。
最悪のシナリオを避けるために、、、来年の職務経歴書を書こう
次の転職を見据えて、データサイエンティストの職務要件にあるような諸スキル(SQL, Python, ect)を磨くのも良いと思うが、それだけだと、データ分析ができるだけのデータサイエンティストとなんら違いがない。
なので、本題である、「来年の職務経歴書」を書こうと思った。来年の職務経歴書を書く効能はいくつかある。
- ”職務経歴書として”書くことで、目標が洗練される
- 職務経歴書に書けることと、それ以外のこととで、優先順位が明確になる
- 乱暴な言い方をすると、「職務経歴書に書くこと」と「それを達成するためにやるべきこと」以外に無駄な時間を使わなくてよくなる
- 一貫したストーリーで行動していれば、職務経歴書に書いた目標が達成できなくてもなんとかなる
前職時代を思い出して
職務経歴書の話を書いていて、前職時代に、「優秀なコンサルタントとは、Day1(プロジェクト開始初日)で、そのプロジェクトの最終報告書のストーリーが作れる人間である」と教えられたことがあったのを思い出した。
これは、仮説思考とか、論点思考に通じることで、
- 手当たり次第に情報収集するのではなく、
- 主張(=ストーリー)を伝えるための根拠だけを必要最低限の労力で収集する
- たとえ当初の主張(=ストーリー)に多少の誤りがあったとしても、都度軌道修正する方が圧倒的に効率が良い
という考え方に基づくものである。
キャリア設計も、これに似たようなもので、「どんなキャリアが良いのか」という漠然とした問いに対して、無闇やたらに動いて試すよりも、ある程度自分が満足できる方向性に向けて動いた方が、最終的な満足度だったり、効率が良いんだろうなぁ、と思った次第。
というわけで、来年の職務経歴書を書こう。
【読書メモ】アイデアの作り方(ジェームズ・W・ヤング)
先日読んだ、「僕は君たちに武器を配りたい(滝本哲史)」にもアイディアとは既存の組み合わせという趣旨の主張がありましたが、アイディアを作るプロセスについては、こちらの本をオススメされた(By 知人)ので、こちらもメモを起こしました。参考になったのは以下の通り。
- アイディアを作る過程で、知識収集は必須。対象領域の知識はめちゃくちゃ深く、かつ、体系立てて整理しないといけないし、アイディアの組み合わせ先として、対象領域以外の知識も貪欲に集めないといけない
- 絶望するまでアイディアを考え抜かねばならない。とにかく、色々な観点で知識同士を組み合わせたり、一つ一つ確認したりして、思いついたことはメモなどにアウトプットする
- 前の工程が終わる前に、次の工程に移ってはならない!
tantantantantan.hatenablog.com
- 作者: ジェームス W.ヤング,竹内均,今井茂雄
- 出版社/メーカー: CCCメディアハウス
- 発売日: 1988/04/08
- メディア: 単行本
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サマリー
- アイディアの作成には、明確な過程がある。アイディアを作る心理は、道具のように使いこなすための秘訣がある
- 一般原理として、「アイディアは既存の要素の新しい組み合わせであること」、「既存の要素を新しい組み合わせに導く能力は、物事の関係を見抜く能力に寄っている」
- 具体的な方法は、1、着目している領域以外の知識も日頃子から集め、2、集めた知識から新しいアイディアを考え抜き、3、放置して、4、思いついたアイディアを、5、問題に適用できるようにブラッシュアップすること、であり、それぞれのステップが完了するまで次のステップに移ってはならない
メモ
アイディアの作成には、明確な過程がある。さらに、アイディアを作る心理は、道具のように使いこなすための秘訣がある
- 広告界のドンである著者は、長年、優秀な広告マン達を観察した結果、上記の結論に達した
- アイディアを作るために、特別な才能は不要であり、多くの人間がこの秘訣を使いこなせると考えている(根拠の無い自信笑)
一般原理として、「アイディアは既存の要素の新しい組み合わせであること」、「既存の要素を新しい組み合わせに導く能力は、物事の関係を見抜く能力に寄っている」
- 事実と事実の間の関係性を見出すことによって、総合的原理を引き出すことができる
具体的な方法は、1、着目している領域以外の知識も日頃子から集め、2、集めた知識から新しいアイディアを考え抜き、3、放置して、4、思いついたアイディアを、5、問題に適用できるようにブラッシュアップすること、であり、それぞれのステップが完了するまで次のステップに移ってはならない
- 1、まずは、着目している領域の知識と、一般的な知識の両方を集める。
- 着目している領域では、一見違いがわからないような物事でも、十分に深く・遠く掘り下げることでアイディアにつながるような関係の特殊性が見つかる可能性がある(e.g. 小説家モーパッサンは、「なんら普通のタクシーの運転手が世界で唯一の独自の人物に見えるようになるまで研究せよ」と後輩に指導していた)
- アイディアは、対象領域における知識と一般事物に関する様々な知識の組み合わせによって生まれる。よって、一般知識の収集も怠ってはならない(e.g. 著者(US広告業界のドン)の知る優秀な広告マンは、どんなことにでも興味を示し、どんな知識も貪っていた)
- 特殊知識の収集においては、カード牽引法(関連知識をカードに記載して整理・分類する方法)が有効。一般知識の収集においてはスクラップブックのような方法が有効
- 2、知識咀嚼の段階では、集めた一つ一つの事実を取り上げて見たり、二つの事実を並べて見たり、様々な角度から関係性を探る。すると、部分的なアイディアが思い浮かぶのでメモる。そして、嫌気が指して、絶望状態が訪れる。ここまでくれば、第二段階はクリア
- 3、問題を放置して、なんでも良いので自分の感情や想像力を刺激するものに向ける(音楽や映画鑑賞など)
- 4、ある時、素晴らしく可愛いアイディアが舞い降りる(らしい)
- 5、可愛いと思えたアイディアがそうでもないことに気づいてしまうが、ちゃんと理解のある人に批判してもらい、現実問題に適用できるようブラッシュアップしていく必要がある
以上
【読書メモ】僕は君たちに武器を配りたい(滝本哲史)
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